と、その時、響鬼と555の記憶にあるゴウっという音が聞こえ、火の雨が降ってきた。
「またあいつかっ!!」
叫ぶと同時に響鬼は地を転がってその場を離れ、555はブラスターの力で宙を横切る。
ダメージを回避した二人が見た先には、先達てとは少し違った光景があった。火の雨は響鬼と555には一切向かず、かなり狭い範囲で降り注いでいて、それは捕らえられている敵の姿が見えなくなる程だった。
「なんで・・・?」
又も火の雨に苦しめられるものとすっかり思っていた響鬼は軽い混乱に支配され、火の雨の有り様を注視していた。
この火の雨を降らせているのは、先般自分達に殺意を向けてきた異形達の仕業に違いない。そしてその異形の中には、吉野に伝わる口伝に記された“鬼の天敵”と思われるモノも居た。この異形達は明らかに人間とは違う存在であり、天敵らしきモノに至っては鬼達への憎悪が溢れている。
未だに火の雨に打たれつづけているモノ達は、当初は響鬼達を襲ってきた事で敵としての認識を持っていたが、もしトドロキの変わり果てた姿だとしたら・・・天敵の標的は自分達だけではなくなる筈だ。
響鬼は直ぐに気を取り直して、以前は自分の仲間であったであろうモノ達を助けんと走り出した。
「でも、どうすればいい・・・」
響鬼は口の中で呟いた。前回は真司の召喚した赤龍に助けられたが、今は555しかおらず、しかも天敵達に一度土を着けられている。多分、今の自分達では適う筈が無い。
だが、響鬼は躊躇する事無く、火の雨に向かって走った。
しかし、響鬼の足は火の雨から少し離れた処で止まる。響鬼の目に、熱によってディスクアニマルが溶け出し、その内にあるモノの姿が少しずつ露出してきているのが見えたからだ。
「何だ?」
更なる混乱が響鬼を襲う。そこへ宙から555が降りてきた。
「ヒビキさん、どうなってるんですか?」
「俺にも分からない。だけど・・・もう一戦交える覚悟はしといた方がいいかもな。」
そう言うと響鬼はアームドセイバーを構えた。それを見て555は態勢を整える。
火の雨の中では不気味な胎動が熾っていた。響鬼が見た通り、熱に負けたディスクアニマル達が溶け出し、敵への戒めを緩めていた。
ドロドロになった戒めを2体の異形が破ると火の雨はピタっと止む。そしてそれが、再び始まる闘いのゴングとなった。
響鬼と555、2体の異形は再び拳を交え始め、そしてその状況を冷やかに見下ろす姿がある。夜の闇の中に白くボンヤリと浮かび上がっているのは、バラのタトゥの女であった。巨木の頂上近くの幹に陣取り、腕を組んで斜に構えている。
「ギギゾ、ボソギガゲ。」
バラのタトゥの女の視線の先には闘い合う4つの影があった。
「ベガセダゴビン ボバゾ、パダギガガギデゾグスラゼロバギ。ロドパ ババラザダダロボビ ボソガセス、バンドボベベギバボドザ」
バラのタトゥの女は高らかな笑い声を上げた。
他方、京介と龍騎の居る海岸では、赤い龍が空を支配していた。龍騎の召喚したドラグレッダーが業火を吐きながら異形を追っている。追われている異形はその炎に太刀打ち出来ないのか、逃げる一方であった。
「くっそう〜!なかなか当たらないなぁ〜。」
イライラとした声で龍騎が呻く。だが、龍騎は呻くだけで何か行動を起こす訳でもなかった。そこへ、すっかり息の整った京介が近付く。
「城戸さん、何か、必殺技とか無いんですか?」
「え?」
「アレには俺の音撃は効かないと思うんです。だから、城戸さんの技をぶつけるしかないですよ。」
「いや、そんな事言われても・・・俺もそんなに詳しくないし・・・」
「何か無いんですか?」
京介は、渋る龍騎のベルトバックル部にあるカードデッキから無理やり数枚のカードを引き抜き、パラパラと表面に描かれている絵柄を見ながらある1枚を選んで龍騎に指し出す。
「城戸さん、コレやってみて下さい。」
「え、でも・・・」
「何事も挑戦ですよ!」
京介は再び龍騎の背中を押す。
普段の真司ならば随分と年下の京介にいい様にされる事は無いのだが、特殊な状況下に置かれている故に言い成りになるしかなかった。
成り行きで異形と対する事となったが、闘いに関して真司は全くの素人である。だが、その素人目に見ても京介は強かった。闘い慣れもしているだろうし、地力も凄まじい。
京介の大仰しい強気は実力を伴っているのである。それを真司が認めているのも、京介にリードされる要因の一つなのだろう。
龍騎は京介から渡されたカードを左腕に装着されているドラグバイザーに装填する。
『ファイナルベント』
乾いた電子音が響くと龍騎は一旦低い態勢を取り、力強く地を蹴ると空を舞い、それを取り巻く様に飛ぶドラグレットダーと共に敵に向かって蹴りを繰り出した。
こちらは<私小説>であり、石ノ森プロ、テレビ朝日、東映とは一切関係ありません
その他、経緯や詳細については企画書を御参照下さい
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